港湾荷役は運ぶ荷で仕事が全然違う|石炭・コークス・塩・プラント・コンテナの現場

「港湾荷役」ってひとくくりにされるけど、現役で港湾におる僕から言わせると——運ぶ荷が変われば、仕事はまるで別物になる。石炭の日と、コークスの日と、プラント資材の日は、使う機械も体の使い方も、しんどさも全然ちがう。ネットでも船種ごとの中身まで書いたもんはまず無いけん、僕が扱ってきた5つの船を、ぜんぶ正直に書いとく。これから港湾を考えとる人の、リアルな下調べになればええ。

その前に|大きい港の「自動」と、僕の現場の「人の手」は別物

船種の話に入る前に、ひとつ正直に断っとく。世間がイメージする港湾——巨大な機械でガーッと自動で揚げるやつは、今や大きい港の主流で、「連続アンローダー」っていう据え付けの大型機械を使う。人が船倉に降りんでも、ベルトでどんどん揚がっていく方式や。

でも、僕がおる現場は、それとは違う。引き込みクレーンにクラブバケットを付けて、人が操作して揚げる、もっと"人の手"が要るやり方や。同じ「港湾」でも、設備によって仕事の中身は全然ちがう。やけんこの記事で書くのは、あくまでその「人の手」の現場の話やと思うて読んでほしい。

ほんで、僕が扱ってきた貨物は、ざっくり2つの揚げ方に分かれる。

この2つは、要る技能からして違う。バラ積みはバケットの操作と船内の重機さばき。吊り物は玉掛けの腕がモノを言う。その日に入る船で、やることがガラッと変わるんよ。ほな、1船種ずつ見ていこう。

① 石炭船|8万トンの巨人。港湾で一番ハードな現場

まず石炭。これが港湾の中でも一番デカくて、一番きつい。船が8万トンクラスの外航船で、とにかく規模がちがう。

揚げ方はこう。引き込みクレーンにクラブバケットを付けて、船倉にバケットを下ろして石炭をつかむ。バケットがつかめん隅っこの石炭は、船内に下ろした重機で、つかめる場所まで掻き出してくる。ちなみにこのバケット、重さ2トンの鉄の塊が30m近い上空から降りてくるけん、船倉で重機を動かしよる間はずっと頭上に注意がいる。一瞬よそ見したら終わりの世界よ。

この船がやっかいなんは、デカいぶん船倉のトモ(船尾)とオモテ(船首)に、螺旋階段とタラップが付いとること。そこに挟まったり乗ったりした石炭を、いちいち落としてバケットに入るようにして——最後の一粒まで、全量きれいに揚げる。これがまた手間でな。

石炭船の「ここがきつい」

※ よう「港湾=毎日12時間の地獄」って言われるけど、あの長時間はこの石炭船で、年に1回あるかないかの特別な日の話。基本は8時〜17時で、たいていはその枠に収まる。毎日地獄、ではないけん誤解せんで。

この石炭船は、深さ25mの船倉に人が降りて、酸欠を測って、なだれと隣り合わせで揚げる——港湾で一番ハードな現場やけん、別記事でとことん深掘りしとる。船倉の中のリアルが気になる人は石炭船の荷役のリアル|深さ25mの船倉に入る記事もどうぞ。

② コークス船|石炭と同じ揚げ方やのに、別物みたいに楽

コークスは「石炭を蒸し焼きにして作る燃料」で、製鉄所で鉄を取り出すのに使われるもん(石炭を1000℃以上で焼いて、硫黄分なんかを抜いて炭素を固めたやつ)。見た目はBB弾くらいの粒で、油でギラギラしとる。ほんで、やたら水を含んで濡れとる

この「なんで濡れとるん?」は長年の謎やったけど、調べて分かった。コークスは作る時、真っ赤に焼けた状態で炉から押し出して、すぐ水をかけて消火するけん、濡れたまま運ばれてくるんよ(出典:コークス - Wikipedia)。現場の「なんでやろ」が、やっと腑に落ちた。

揚げ方そのものは石炭と一緒(引き込みクレーン+クラブバケット+船内の重機)。やのに、作業はだいぶ楽。理由は船の大きさ。コークスは600トンクラスの内航船(国内を回る小さい船)で、石炭の8万トンとは桁が2つ違う。小さい船やけん、あの面倒な螺旋階段も踊り場も無い。掻き出して、つかんで、はい終わり。同じ「バケットで揚げる」でも、石炭とは天と地ほど体の楽さがちがうんよ。

③ 塩船|暑い海を越えて、ガチガチに固まってやってくる

塩は2万トンクラス。石炭(8万t)とコークス(600t)のちょうど真ん中くらいのサイズや。揚げ方は石炭と同じ系統で、クラブバケット+重機で寄せてつかむ。

見た目は、料理で使う粗塩を、でっかくしたみたいな粒。ただこれがクセもんで——暑い地域を通って運ばれてくる間に、いっぺん溶けて、また固まる。船倉の中でカチカチの塩の塊になっとるんよ。やけん、そのまんまではバケットでつかめん。重機で塊を崩して、つかめる状態にしてから揚げる。

ほんで塩船は、塩のサイズの船やけん螺旋階段や踊り場がある。石炭と同じで、そこにこびりついた塩も掃除せんといけん。「白い塩」って聞くとキレイなイメージやけど、現場は地味に手間のかかる船よ。

④ プラント資材|ここで初めて「玉掛け」の出番

ここから先は、バラ積みとは別世界の「吊り物」。プラント資材は、設備・機材・タンク・ダクトみたいな大物を運ぶ仕事で、台船(動力のない平たい船)や内航船でやってくる。

まず他と違うんが、「揚げ(降ろす)」だけやなく「積み(載せる)」もあること。バラ積みは基本降ろすだけやけど、プラントは積み込みもやる。

作業はクレーンで吊って動かす。ここで玉掛けの技能が本領を発揮する。なんでかっていうと——形がいびつな物や、偏荷重(重心が片寄っとる荷)を吊るけん、天秤(バランスを取る吊り具)・ワイヤー・スリングの選び方が命になる。選定をミスったら、荷が傾いて落ちる。ここは経験と知識がモノを言う、職人的な作業よ。

そして積みの時は、ラッシング(固定)が絶対。海は波があるけん、積んだ荷が動いたら大事故になる。ベルトラッシングやワイヤーラッシングで、これでもかと固定する。これがまた手間やけど、命に関わるけん手は抜けん。

⑤ コンテナ船|世間のイメージと、地方の現場は違う

最後にコンテナ。世間の「港湾=コンテナ」のイメージは、たぶん巨大なガントリークレーンで数百個をさばく大きい港のことやと思う。でも僕がおる現場は違う。

うちのコンテナ船は内航船で、小規模。1回に30個くらいしか積まん。やけん、専用の大型クレーンやなくて、普通のクレーンに天秤を吊って、玉掛けして積み降ろしする。プラントと同じ「吊り物」の仲間やね。

コンテナならではのしんどさは、中身が見えんこと。箱の中に何が入っとるか分からんけん、偏荷重があると、吊り具のピンがなかなか合わん。傾いた箱に金具をカチッと合わせるのに苦労する。見た目はスマートやのに、地味にストレスのかかる作業よ。

ちなみに、コンテナを岸壁で動かす時は、リーチスタッカー(コンテナをつかんで運ぶ、超でっかいフォークリフトみたいな機械)を使う。これは乗ってしまえば、わりと気持ちええ作業や。

結局、港湾は「どの船に当たるか」で決まる

こうやって並べると分かると思う。同じ港湾作業員でも、その日に入る船で——

「港湾はきつい」も「港湾は楽」も、どっちも正解で、どっちも不正解。船によるんよ。これが、現役で中におる人間の、いちばん正直な答えや。仕事の全体像や給料の話は港湾荷役はガラが悪い?きつい?の記事に、1日の流れは港湾の1日の流れの記事に書いとるけん、あわせて読んでみて。

ついでに言うと、ここで出てきた玉掛けもフォークリフトも、未経験で入って働きながら取れる国家資格よ(未経験から国家資格が取れる現場仕事の記事に詳しく書いとる)。資格ゼロでも、入口はちゃんとあるけん安心して。

よくある質問

港湾荷役は、どんな船でも同じ作業?
全然違う。大きい港のバラ積みは連続アンローダーっていう大型機械が主流やけど、僕がおる現場では、石炭・コークス・塩のバラ積みはクラブバケットで揚げ、プラントやコンテナは玉掛けで吊って積み降ろしする。船の大きさも8万tから600tまでバラバラで、作業の中身はまるで別物よ。
一番きついのはどの船?
僕の体感では石炭船。船が巨大で、粉じん・暑さ寒さ・荷崩れの危険があって、階段にこびりついた石炭まで全量揚げる。よう言われる12時間勤務みたいな日は、この石炭船で年に1回あるかないかの特別なケースやった。
玉掛けの資格はどの作業で要る?
プラント資材やコンテナみたいに、クレーンに荷を吊って動かす作業で要る。逆に石炭・コークス・塩はクラブバケットでつかむけん、つかむ作業そのものに玉掛けは要らん。同じ港湾でも船種で要る技能が違うんよ。
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この記事を書いた人 IT・営業・製造・整備・港湾と、いくつもの仕事を渡り歩いてきました。今も港湾で働きながら、体を動かせて人間関係に無理のない現場はないか探しとります。きれいな成功談やなく、自分が体験したことだけを正直に書いとります。詳しくは運営者情報へ。