港湾の現場用語、最初は宇宙語やった|レッコー・ヒーボ・スライ…未経験が言葉を覚えるまで
未経験で港湾に入って、まず最初にぶつかる壁。それは、力仕事やない。「言葉が、まったく分からん」ことよ。トモ・オモテも分からん、工具の名前も分からん、クレーンの合図にいたっては完全に宇宙語。この記事は、そんな未経験時代の僕が、現場の言葉をどう覚えていったかのリアル。「港湾、興味あるけど自分にできるかな」と不安な人に、最初はみんな分からんけん大丈夫、と伝えたくて書く。
入りたては、何を言われとるか分からん
正直に言う。入った当初の僕は、飛び交う言葉の意味が、ほぼ分からんかった。
たとえば、船の前と後ろを指す「トモ(船尾)」「オモテ(船首)」。今でこそ当たり前に使うけど、最初は「トモってどっち!?」状態。工具の名前も知らん、合図の言葉も知らん。まわりが普通に喋っとる言葉が、自分だけ分からん——あの心細さは、未経験で現場に入った人なら、分かってくれると思う。
クレーンの合図が、いちばんの宇宙語やった
中でも、いちばん「なんやそれ」やったのが、クレーンの合図。重い荷を吊るクレーンは、声や合図で「上げろ」「下ろせ」をやり取りする。その言葉が、これよ👇
・レッコー……吊り荷を地面まで下ろせ
・スライ……ゆっくり下げる(レッコーが地面まで下ろすのに対して、スライはそろーっと下げる感じ)
・ヒーボ……巻け(巻き上げ=上げる)
・頭(あたま)……クレーンの起伏。「頭上げて」でクレーンを起こす感じ
初めて聞いたときは、ほんまに「呪文か?」と思うた。でも、これが現場で一日中、何百回と飛び交う。やけん、意味が分からんでも、耳が先に覚えていくんよね。「あ、ヒーボって言われたら上がるんやな」って、体で分かってくる。
ほかにも、知らん言葉だらけ
合図だけやない。現場には、知らん言葉がゴロゴロしとった。最初はいちいち「それ何ですか」状態。
- カーゴライト……暗い船倉を照らす照明。中は昼でも暗いし、夜は真っ暗やけん、これが要る
- ラッシング……荷が動かんように固定すること。海は揺れるけん、積んだ荷はガッチリ固定せんと危ない
- ベルト……そのラッシングに使う、固定用のベルト
- 玉掛け(たまがけ)……クレーンで吊るために、荷にワイヤーやスリングを掛ける作業。港湾の超・基本(これは未経験から取れる国家資格の記事で書いた、玉掛け技能講習が要る作業よ)
こうやって書くと専門的やけど、要は「習うより慣れろ」。一個ずつ、現場で覚えていくしかない。そして、ちゃんと覚えられる。
新人は、いきなり「玉掛け」
よう「新人は楽な雑用から」と思われがちやけど、僕がおった会社は、ちょっと違うた。
うちは玉掛けがないと、ほぼ仕事にならん現場。やけん、新人もいきなり玉掛けよ。準備や運搬だけ、みたいな楽な係から慣らしてくれる、なんてことはない。現場に行って、できることを指示してもらいながらやる——そんな感じで、いきなり実戦やった。
逆に、体力を使う力仕事は、だいたい新人の側。簡単で段取りのええ仕事は、上の人がやっとった。まあ、これはどこの企業も同じやろね。
ただ、ひとつ誤解せんでほしいんが——「クレーンの操作=楽」やないよ。重い荷を、人がおるすぐ近くで動かすんやけん、めちゃくちゃ気を使う、神経のすり減る仕事。楽そうに見えて、ぜんぜん楽やない。新人がやるのは"体がきつい"側、ベテランがやるのは"神経を使う"側、いう感じやね。どっちにもしんどさがある。最初はしんどいけど、これも順番よ。
道具と装備|これが無いと仕事にならん
言葉と一緒に、装備のことも書いとく。港湾の作業は、こんな格好。
- 作業服+安全靴+ヘルメット……基本のスタイル。しかもヘルメットにはライトが付いとる。暗い船倉の中で作業するけん、これが要るんよ
- 皮手袋……これが無いと、手を怪我する。ワイヤーや尖った荷を扱うけん、素手やと手を切ったり皮がむけたり、あっという間にボロボロよ
- 重機……これが無いと、そもそも仕事にならん。人の手だけでは動かせん荷を扱う現場やけんね
それでも、ちゃんと慣れる|体も、言葉も
宇宙語だらけでスタートした僕やけど、続けとったら、ちゃんと慣れた。言葉も、いつの間にか自分が普通に使うようになっとった。
体も変わった。体力はついたし、足腰はけっこう強くなったw 毎日船倉を上り下りして、荷を扱うけんね。
正直、派手な達成感がある仕事やない。一日終わったら「あー、仕事したな〜」と思うくらい。外航船は出港が数時間後やけん、自分が揚げた船が出ていくとこも、ほとんど見たことないしw(内航船やと、綱取り・綱外しまでやることもある)。それでも——船の上から見る朝日は、けっこうキレイやった。しんどい現場の、ちょっとしたごほうびよね。
未経験で不安な人へ
もし「港湾、興味あるけど、言葉も作業も分からんし不安」と思っとるなら——大丈夫。最初はみんな、宇宙語からのスタートよ。トモもオモテも、レッコーもヒーボも、誰だって最初は分からん。
それでも、現場で指示されたことを一個ずつやっとったら、ちゃんと覚えるし、体もついてくる。未経験でも、入口はちゃんとある。現場で認められていく過程は、現場仕事で認められるまでの記事にも書いとるけん、あわせてどうぞ。
よくある質問
港湾の現場用語は、未経験でも覚えられる?
「レッコー」「ヒーボ」ってどういう意味?
港湾の新人は、最初どんな仕事をする?
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